ご報告が大分遅れてしまいましたが、北海道新聞「人とーく」にユニバーサルメニューの記事が掲載されました
【掲載日】2024年5月31日
一般社団法人「いっぽん」代表理事 佐久間信語さん(44歳)=西区
【記事】
目が不自由でも、ゆっくりメニュー選びを楽しみたい—。飲食店に「音声・点字付きユニバーサルメニュー」の普及を図ろうと、「点字メニュー推進プロジェクト」を行っています。
盲目の友人と飲食店を訪れた際に、点字メニューの存在を初めて知りました。視覚に障害のある人は通常、同行者や店のスタッフにメニューを読み上げてもらい注文しますが、気を使ってしまい、食べたいものをゆっくり選ぶのが難しいといいます。点字メニューがあれば、人に頼ることなく自分で読んでじっくり選ぶことができ、食事の楽しみが増えます。しかし、点字メニューを置いている店はまだ少なく、歯がゆく思った佐久間さんは「それなら自分で作ろう」と決心しました。
その後、その友人を通じて、視覚障害者で点字指導員の資格を持ち、個人で点字メニューを作成していた舟崎美奈子さん(44歳)と知り合いました。「自分以外にも同じ思いを持つ人がいた!」。お互い仲間を探していたことから、すぐに意気投合し、2014年にプロジェクトを立ち上げました。
当初は、紙に点字を打って作っていましたが、コロナ禍となり、不特定多数の人が触れるのは衛生面で気になるとの声を受け、ビニールシートに打刻した消毒可能な防水タイプに改良。黒い紙に白い文字を大きく入れることで、弱視の人や高齢者にも読みやすくしました。また、音声読み上げガイドのQRコードを付けて点字が読めない人にも対応できるようにし、さまざまな人に優しいメニューの意味から、「ユニバーサルメニュー」と名付けました。
これまで導入した店舗では「障害のあるお客さまに喜ばれた」「店のスタッフの負担が軽減された」と好評です。舟崎さんは「視覚障害者にはサポートも必要ですが、自分でできることが増えるのは大事なこと」と語ります。当面の目標は、市内で100店舗の導入。点字部分の打刻は視覚障害がある人に依頼しており、佐久間さんは「障害のある方々の仕事の拡大にもつながれば」と話しています。
札幌市では点字メニュー導入における補助制度(上限1万円まで)もあります。メニュー製作・導入についての問い合わせは、佐久間さん、電話090・1306・0758、またはメールinfo@ippon‐hokkaido.com(アイエヌエフオーアットアイピーピーオーエヌハイフンエイチオーケイケイアイディーオードットシーオーエム)。
ライター 相庭陽子
【人物紹介】さくま・しんご 1980年、札幌市生まれ。札琴似工高卒。株式会社サンアビ代表取締役。エアコン取付工事やハイブリッド型配信の仕事をしながら「いっぽん」の活動に従事している。
【北海道新聞「人とーく」掲載情報】